うちの犬がジアルジアというバクテリアに感染して体調が悪くなったので昨日、動物病院へ行ってきた。今年で11歳にもなると、少しずつ免疫力の低下を感じる。今まで何度か嘔吐をすることはあったが、盛大に水を吐き出したのははじめてだった。そこに少し赤いものが混ざっていたので急いでいつも診てもらっている病院に電話をかけて症状を話すと夕方に予約を取り付けてくれた。その際に吐瀉物を持ってきて欲しいと頼まれた。キッチンペーパーで吐瀉物を吸わせてアルミホイル包み持っていくと、それで感染症の検査ができる。
病院へ着いて受付でアルミホイルを渡すと研究室で感染症の検査をしてくれた。お医者さんに呼ばれて診察をうけながら、症状などを話しす。1週間前からヒートが始まったので食欲の低下や嘔吐はたまにあるが、盛大に何度も吐くことは珍しく吐瀉物の中に赤いものが混ざっていたことを話した。すると医者はジアルジアというバクテリアに感染していることを教えてくれた。このバクテリアは私が住むザクセンには残念なことに他の地域よりも多く、感染率も高いとのことだった。ジアルジアでは下痢も症状のうちの一つだが、ヒートで食欲が落ちていたせいもあってか下痢はなかった。注射を2本打ってもらい、家にある犬のもの全てを消毒するにあたって受付で詳しいことを聞いてくださいと言われた。
帰り際に犬に日本語で「おうちに帰ろうね、がんばったね」と話しかけると、お医者さんは不思議そうに「なんて言ったの?」と聞いてきた。
「家に帰ろうね」と話しかけたんですよ、と返事をすると
「何語なの?」と医者がまた聞いてくる。
「日本語ですよ、私たちは一緒に日本から飛行機でドイツにやってきたんです。だから犬のコマンドーは日本語なんですよ。」
「そうなのね。きっと私が他の国に犬と一緒に引っ越してもドイツ語で犬に話しかけると思うわ。それにしても、ドイツ語が上手なのね」
「そう言ってもらえると、嬉しいです。ありがとう」といって、さようならの挨拶をかわし私は診察室を後にした。
緊張が一気に抜けたのか、その後私は受付で盛大にやらかした。色々と投薬や犬の食器、クッション、履いた場所の消毒などの説明の後にお会計をするときに72€の会計を27€と勘違いして、50€札を渡した。受付が他にはないですか?と聞かれたので、小銭のことかな勘違いしてしまった。小銭は持っていなかったので、無いですと応えるとツケにするために上司の元へ席を経った。ここでも私はお釣りを用意してくるのかな?と勝手に思い込んで、戻ってきた受付が「では残りの分は次回で良いので」と言うと、やっと私は現状を理解し「27€じゃないんですか?なぜ足りないのでしょう?」と聞くと、「お会計は72€なのであと22€足りないです」と教えてくれた。恥ずかしくて死にそうだったが、正直に時々ドイツ語の数字が苦手で27€だと勘違いしたことを伝えると笑って理解してくれた。足りない分を渡し、受付が親切に会話を英語に切り替えてくれて難を逃れた。最後まで親切にしてくれた病院の人に感謝しながら電車に乗った。
電車に乗って景色を見ていると、若い兄ちゃんが話しかけてきた。犬を触ろうとしてきたので「この犬は今バクテリアに感染しているので触らない方が良いですよ。今病院の帰りなんです」と伝えるとそこから色々と話しかけてきて、どこから来たの?とか、ドイツで何してるの?とかとても面倒臭い展開になっていった。挙げ句の果てに電話番号を聞いてきたので、じゃぁFacebookやってる?と聞くと案の定やってないと言ってきたのでそっかぁ残念だね、と断ったら、インスタならやってるよ!と。昨日、私は新しいiPhoneに買い換えたばかりなので内心盗まれやしないかと冷や冷やしながらも一緒に彼のインスタアカウントを検索した。しかし何度やっても見つからない。心の中で諦めてくれと思っていると、何故か彼は自分の仲の良い友達のアカウントを見つけ出して、それをフォローすれば僕にも繋がるから、というアイディアを提案してきた。その後も諦めきれなかったのか、私のインスタアカウントの写真を撮ろうとして自分のスマホをポケットから出したら、画面がバキバキに割れていて「昨日、スマホを無くしたから家にあった古いやつなんだよね」と言いながら私のインスタアカウントの画面を写真に収めようとするが、どうがんばってもピントが合わない。そんなこんなしているうちに、彼の降車駅に到着したので彼は降りていった。写真はギリギリ間に合ってしまったので、彼の古いスマホの画像フォルダに私のインスタアカウントが残っていることに不安を覚えた。家について速攻、彼の友達のアカウントをアンフォローしたのも言うまでもない。彼はしきりに、新しい人と出会うことが僕は好きだと言っていた。年齢を聞くと19歳でついこないだAbiturを終えたという。
なんだか昨日はとてつもなく変な日だった。家に帰って消毒や食事の用意、投薬などを済ませて残りの仕事に手をつけようと思っても頭の中で色々な情報が行き交っていたので仕事は諦めた。
注射をしてもらったあと、うちの犬は元気に戻ってご飯もたくさん食べた。いつもの体調に戻ってくれたのでそれだけで充分じゃないか、と思いその日の仕事は諦めた。