東ドイツにおけるモラルの低さ

これはベルリンに足を踏み入れると一番最初に感じるのが、汚い、暗い、雰囲気が少し違うと感じる。これらはベルリンや旧東ドイツの地域でよくみられる。特に日本という清潔で明るい国で育ったらそのコントラストを強く感じるだろう。旅慣れている人ならそこまで感じないかもしれないが、もし初めての旧共産圏の場合、独特な雰囲気に違和感を覚える。
今日は私がドイツで長年くらしていて感じたドイツのモラルの低いエピソードを紹介していく。

DHLの宅配サービスが終わってる

数週間前にネットで買ったものが配達されるのを家で待っていた。メールや追跡ナンバーで何時ごろに到着するか予定を把握できるサービスがドイツにも浸透している。だから私はその日は予定を入れずに家で待機。家のインターフォンが鳴り、アパートがある階数を伝えると愛想の悪い返事が返ってきた。部屋の中で待っていたが配達員はやってこず、ポストを見ると不在届が。つい数分前にチャイム越しに会話をしたので配達員は私が在宅なのを知っているはずなのに、嫌がらせのように不在届。しかもその日は土曜日。日曜はどこの店もしまっているので荷物を受け取れるのは月曜になる。
この件について後日知ったことがある。同じアパートにもDHLで働いているカップルがいて彼らと立ち話をした時にDHLの配達員のほとんどは仕事に責任感を持っていない。だから自分たちも機嫌が悪い日や、ムカツク顧客にはわざと不在票を入れたり、荷物の持ち去りや廃棄もあるという。これらが蔓延している職場、誰かが指摘するわけでもなく会社で指導をしたところで、働いている人々の意識や仕事への責任感が高まるわけでもない。社会の雰囲気がそういう低レベルな人々を受け入れているのだ。

学校や大学でも差別はある

学校や大学に通っている人でも、差別はうける。それが西の方のドイツなら比較的少ないが、旧東ドイツは最悪だ。外国人だからという理由で入学を拒否することはそこまで聞かないが、実際にそこの学校で学び始めると色々な面が浮き彫りになる。校外実習のバス移動の際にはドイツ人と外国人で分けられるし、学校イベントや取材などでは外国人が映っているとその部分だけ切り取られたりする。それはアジア人だけじゃなく、アラブ系の人もそういった被害に遭う。本当にそんなことがあるのだろうか?と疑うくらいだが、残念な事にこれらは実体験だ。

親切にすることがデフォルトではない

中にはとても親切な人もいる。道端で助けてくれたり、嫌がらせやスリなどで困っていたら助けてくれる人は多い。けれど、役所やレストランなどのサービスで親切なやりとりができる人は少ない。それは東ドイツが旧共産圏だったのでサービスという概念が人々に浸透していないからだ。子供の頃からサービスを受けることがどんなことなのか分からずに育ち、大人になってもそれができない人はたくさんいる。成功している人たちの多くはワークショップや講習会などで、サービスの基礎を勉強する。そういう人たちを見て、東ドイツ人は気取っていると言う。良いサービスを受けることに慣れていないから、気取っていると捉えるし、ビジネスで成功したら気取っていると陰口を叩かれる。モラルが低いのと同時に、人間として根本的な部分が歪んでいるように感じるのは私だけだろうか。

モラルの低い人との生活

ドイツの悪口のようにまたまたなってしまったが、それでもここで暮らすと決めた以上はこれらの不愉快な問題と向き合いながら生きていくしかない。モラルの低さや幼稚な大人を相手にしながら暮らしていくのはものすごく疲れる。もちろんそうでない人もいるが、時々忘れた頃に嫌がらせをされたり心無い人と出会ってしまう。そういう時は気にしない、忘れてしまうのが一番だ。時々、仕返しをしてやりたいと思うほど悔しいことがたくさんある。お金を騙し取られたり、無料奉仕を強要されたり。そういう時は自分自身を強く持って、流されることなくNOを突きつけ、今後の人生には一切関わらないと強く決心するしかない。ヨーロッパやドイツの性悪説は都市伝説ではない。人を騙してでも金を儲けたいと思う人はどこにでもいる。ドイツに移住してきた同じ日本人にもいる。若い頃は世界中から所謂、悪い人がいなくなればいいのにと思っていたし、いつかそんな日が来るのだろうかと期待を抱いていたが、そんな日は地球が滅びない限りやってこない。だからせめて自分を守るためにも、モラルの低い人とは関わらないと心に留めておく必要がある。